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[「My Library!」95]

2025年11月25日
『 My Library 』へようこそ〜♪今回は『宙わたる教室』を読んで以来、すっかりハマってしまった。伊予原新さんの作品を2冊紹介します。
伊予原さんは1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。


■『月まで三キロ』 伊予原 新(著)

「この先にね、月に一番近い場所があるんですよ」。死に場所を探す男とタクシー運転手の、一夜のドラマを描く表題作。
食事会の別れ際、「クリスマスまで持っていて」と渡された黒い傘。不意の出来事に、閉じた心が揺れる「星六花」。
「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。
「エイリアンの食堂」。真面目な主婦が、一眼レフを手に家出した理由とは(「山を刻む」)等、ままならない人生を、月や雪が温かく照らしだす感涙の傑作六編。
科学のきらめきが人の想いを結びつける。新田次郎文学賞他受賞。

伊与原さんの作品は2作目。すっかりファンになってしまった。どの話もおもしろく、ネットで(地名・標識・雪の結晶・人名・初めて目にする言葉など……)検索しながらじっくり読んだ。
いちばんグサグサ刺さったのは『山を刻む』だ。「誰もわたしに感謝したりはしない。わたしの心をおもんぱかったり、体を気遣ったりもしない。
いつの間にかわたしは、家族にとって、切り刻んでも構わない相手になっている。まるで、いくら刻み取っても形を変えることのない、山のように」(P222)。
うぅ。まるで妻が主人公として書かれたみたいで、大いに反省した。妻に感謝を忘れず伝えたいと思う。
おすすめ度は、★5つ。


■『藍を継ぐ海』 伊予原 新(著) 

数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に……。徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子…「藍を継ぐ海」。
年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性…「星隕つ駅逓」。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男…「夢化けの島」。
長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員…「祈りの破片」。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに出会ったウェブデザイナーの女性…「狼犬ダイアリー」。
人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『宙わたる教室』『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、心揺さぶられる全五篇。

第172回直木賞受賞作。伊与原さんの作品は『宙わたる教室』『月まで三キロ』に続いて3作目。
あとがきに書かれているように、綿密な取材や、たくさんの参考文献や資料による、実話に基づいたフィクションの作品なので、どの話も短編ではあるが……、とても興味深くページをめくった。
私は九州に住んでいるので、長崎の方言やまるでその場所にいるような情景、登場人物の感情など、内容が濃く引き込まれた。ジンワリと心に沁みる作品で読後感もよいのでオススメです。
先日のニュースであった鹿児島での「火球」騒動、「えっ!ニホンオオカミは絶滅しちょったん?」とかいろいろと勉強になったな。
「そういえばトーテムポールって、私の通っていた小学校にもあったよな?」「私が小学生のころ(56〜7年前?)屋久島の旅行で、ウミガメのたまごを食べた(殻に穴を開けてすすった)ことあったよな〜(しょっぱくてザラザラした食感だった記憶が…)」なんて、この作品を通して様々な記憶や思いがよみがえったばい。
おすすめ度は、★5つ。


――つづく。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今回のおすすめN3は、第6862回終了現在、第6796回より 66回出現なしの3けたプラス[12]狙いで 5点継続。
[183] [345] [426] [651] [921]
第6663回より 199回出現なしの3けたプラス[22]狙いで 5点継続。
[598] [778] [886] [967] [994]


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『 My Library 』へようこそ〜♪今回は『宙わたる教室』を読んで以来、すっかりハマってしまった。伊予原新さんの作品を2冊紹介します。
伊予原さんは1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。


■『月まで三キロ』 伊予原 新(著)

「この先にね、月に一番近い場所があるんですよ」。死に場所を探す男とタクシー運転手の、一夜のドラマを描く表題作。
食事会の別れ際、「クリスマスまで持っていて」と渡された黒い傘。不意の出来事に、閉じた心が揺れる「星六花」。
「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。
「エイリアンの食堂」。真面目な主婦が、一眼レフを手に家出した理由とは(「山を刻む」)等、ままならない人生を、月や雪が温かく照らしだす感涙の傑作六編。
科学のきらめきが人の想いを結びつける。新田次郎文学賞他受賞。

伊与原さんの作品は2作目。すっかりファンになってしまった。どの話もおもしろく、ネットで(地名・標識・雪の結晶・人名・初めて目にする言葉など……)検索しながらじっくり読んだ。
いちばんグサグサ刺さったのは『山を刻む』だ。「誰もわたしに感謝したりはしない。わたしの心をおもんぱかったり、体を気遣ったりもしない。
いつの間にかわたしは、家族にとって、切り刻んでも構わない相手になっている。まるで、いくら刻み取っても形を変えることのない、山のように」(P222)。
うぅ。まるで妻が主人公として書かれたみたいで、大いに反省した。妻に感謝を忘れず伝えたいと思う。
おすすめ度は、★5つ。


■『藍を継ぐ海』 伊予原 新(著) 

数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に……。徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子…「藍を継ぐ海」。
年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性…「星隕つ駅逓」。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男…「夢化けの島」。
長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員…「祈りの破片」。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに出会ったウェブデザイナーの女性…「狼犬ダイアリー」。
人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『宙わたる教室』『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、心揺さぶられる全五篇。

第172回直木賞受賞作。伊与原さんの作品は『宙わたる教室』『月まで三キロ』に続いて3作目。
あとがきに書かれているように、綿密な取材や、たくさんの参考文献や資料による、実話に基づいたフィクションの作品なので、どの話も短編ではあるが……、とても興味深くページをめくった。
私は九州に住んでいるので、長崎の方言やまるでその場所にいるような情景、登場人物の感情など、内容が濃く引き込まれた。ジンワリと心に沁みる作品で読後感もよいのでオススメです。
先日のニュースであった鹿児島での「火球」騒動、「えっ!ニホンオオカミは絶滅しちょったん?」とかいろいろと勉強になったな。
「そういえばトーテムポールって、私の通っていた小学校にもあったよな?」「私が小学生のころ(56〜7年前?)屋久島の旅行で、ウミガメのたまごを食べた(殻に穴を開けてすすった)ことあったよな〜(しょっぱくてザラザラした食感だった記憶が…)」なんて、この作品を通して様々な記憶や思いがよみがえったばい。
おすすめ度は、★5つ。


――つづく。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今回のおすすめN3は、第6862回終了現在、第6796回より 66回出現なしの3けたプラス[12]狙いで 5点継続。
[183] [345] [426] [651] [921]
第6663回より 199回出現なしの3けたプラス[22]狙いで 5点継続。
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